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英国のCPTPP加盟:二国間投資協定(BIT)への潜在的影響

英国の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」への加盟は、2026年1月のメキシコによる承認をもって、カナダを除くすべての締約国との間で拘束力を持つこととなった。これは、2023年7月の加盟議定書署名から始まった5年間にわたる交渉プロセスの集大成である。

英国はすでに複数のCPTPP加盟国と二国間投資協定(BIT)を締結しているが、CPTPPへの加盟はさらなる利益をもたらす。具体的には、関税撤廃ルートの確立、デジタル貿易に関する現代的なルールの導入、そしてサプライチェーンの強靭化に向けた枠組みの構築が挙げられる。これらの規定は英国のみならず全ての加盟国に適用され、各国の経済関係や国際貿易における地位に影響を及ぼす可能性がある。

英国とCPTPP加盟国との間の既存のBITは、他の条約から独立・自律したものであるため、引き続き効力を維持する。したがって、CPTPPの発効によってBITが自動的に終了することはなく、当事国が明示的に合意しない限り存続する。加盟関連文書やCPTPPの構造に照らせば、BITとCPTPPは並行して運用されることが示唆されており、投資家は紛争解決や投資保護において、いずれの制度に依拠するかを選択できる。

もっとも、投資章を含むCPTPPが英国と他の加盟国との間で発効すれば、既存のBITの実務的な重要性は変化していくと考えられる。CPTPP第9章は「投資家対国家の紛争解決(ISDS)」に関する規則および実体的な保護規定を定めており、これはCPTPP発効前後になされた投資の双方に適用される。その結果、CPTPPとBITによる保護の「重複」が生じる。この重複をどう管理するかは各締約国の判断に委ねられており、(a) 両制度を並行して運用する、(b) 重複やCPTPPとの抵触を避けるためにBITを見直し・適用停止する、または (c) CPTPPの投資保護が十分であると判断した場合にはBITを終了または再交渉する、といった選択肢が考えられる。

こうした状況の変化に鑑み、投資家は自社の投資構造を再評価し、最も有利な条約上の保護を選択できるよう、今後の条約運用の動向を注視する必要がある。

免責事項

本ニュースレターは情報提供のみを目的とし、法的助言を構成するものではありません。各社の具体的状況に応じて、専門家に相談のうえ適切な対応をご検討ください。


*Special thanks to International Law Clerk Perla Salgado for contributing to this GT Alert.