2026年2月20日、米国最高裁判所は、トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき導入した「相互主義的(reciprocal)」関税および「フェンタニル関税」(薬物危機対策として導入された追加関税)について、政権が IEEPA により認められた権限を逸脱していたと判断し、これらを無効化しました。この判決により、これまでに支払われた関税について数十億ドル規模の還付が生じ得る状況となっています。
M&A 取引における還付受領権の取り扱い
買収契約を交渉する当事者は、以下の点を明示的に取り扱うことが望ましいと考えられます。
- 還付権の所在: クロージング前の期間に係る関税還付を、売主・買主のいずれが受領するかを明確に定める必要があります。
- 独立条項の検討: 還付額が多額となる可能性があるため、標準的な税務条項に依拠するのではなく、今回の還付に特化した独立した条項(スタンドアロン条項)を設けることが考えられます。
- 実務的な役割分担: 条項には、どちらの当事者が還付回収手続を実施するか、どの程度の努力義務(商業的に合理的な努力、合理的最善の努力等)を課すか、回収費用を還付金から控除できるかといった点も規定することが望まれます。
- データの取得: CBP の ACE ポータルから、IEEPA 関税コードで申告されたエントリーのデータ(エントリー番号、日付、支払済み関税額等)をダウンロードする。
- 法的措置の検討: IEEPA 関税を支払った全エントリーを対象に、国際貿易裁判所(CIT)へ訴訟を提起する。
- 保護的プロテスト(不服申立て): すでに通関が確定(liquidated)しているエントリーについては、180日以内に CBP へ保護的プロテストを提出する。
輸入者が準備すべき事項
米国税関・国境警備局(CBP)が簡素化された還付プロセスを公表する可能性がありますが、輸入者は迅速に対応できるよう、以下の準備を検討することが考えられます。