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トランプ大統領、ドローンに関する新たな通商拡大法232条関税を設定

要点まとめ
  • ドナルド・トランプ米大統領は2026年8月13日、無人航空機システム(UAS)及びUAS重要部品の輸入がもたらす国家安全保障上の脅威に対応し、米国ドローン産業の成長を支援することを目的として、通商拡大法232条に基づく関税を課す布告を発しました。

  • 米国が外国のドローン製造業者及び外国調達部品に依存していることが、サプライチェーンの脆弱性、サイバーセキュリティ上のリスクを生じさせるほか、防衛産業基盤の将来の軍事需要への対応能力を制約しているとの判断が下されました。

  • 特定の大型ドローン、熱画像(サーマルイメージング)機能を備えたドローン、ドローン用ドッキングステーション、及び特定の重要ドローン部品については、原則として100%の関税が課されます。

  • 小型ドローン及び特定のドローン部品には25%の関税が課され、その多くは2027年2月9日に発効します。

  • 国防総省のBlue UASプログラム、Blue UASフレームワーク、又は米国連邦通信委員会(FCC)の条件付承認(Conditional Approval)制度に参加している企業は、関税適用の180日間猶予の対象となる可能性があります。

  • 欧州連合、日本、韓国、台湾、スイス及びリヒテンシュタインを原産とするドローン及びその部品は関税率の上限が15%となり得る一方、英国原産の同製品については、その上限が10%となります。

  • 本布告により、米商務省が所管する新たな国内生産誘致(オンショアリング)プログラムが創設され、要件を満たす企業は、米国内で新たなドローン生産施設を建設する場合、施設建設期間中、対象製品及び製造設備を通商拡大法232条関税の負担なく輸入することができます。

2026年8月13日、トランプ大統領は1962年通商拡大法232条に基づき、特定の輸入無人航空機システム(UAS、いわゆるドローン)及びUAS部品に対する関税を課す布告を発しました。近年、軍事、公共安全、重要インフラ、農業、通信、エネルギー及び商業の各分野においてドローン需要が高まっており、米国内の各産業は、点検、監視、物流及び緊急対応にUAS技術を活用しています。同時に、米政府内では、米国が主要なドローン技術について外国製造業者及び外国サプライチェーンに依存していることに対し、懸念が示されてきました。本布告は、2025年6月6日にトランプ大統領が発した大統領令14307号「Unleashing American Drone Dominance」を踏まえたものです。同大統領令は、「強固で安全な国内ドローン産業を構築することは、外国への依存を低減し、重要技術に関するサプライチェーンを強化し、ドローン技術の恩恵を米国民に確実に届けるために不可欠である」としていました。

本布告では、輸入されるUAS及び関連部品が、サプライチェーンの脆弱性を生じさせ、国内製造能力を制約し、サイバーセキュリティ上のリスクをもたらすことによって、国家安全保障を損なうおそれのある形で米国内に流入しているとの認識を示しています。

関税実施のタイムライン

2026年9月3日以降、特定の高リスクドローンシステム及び部品の輸入には100%の関税が課されます。対象には、最大離陸重量が25キログラムを超えるドローン、熱画像(サーマルイメージング)機能を備えたドローン、ドローン用ドッキングステーション、及び米商務省が指定する特定の重要部品が含まれます。2027年2月9日以降は、本布告の附属書IIIに定める特定の追加ドローン部品に25%の関税が課されます。関税を2027年2月9日まで猶予することで、業界が国内製造能力を拡大し、調達戦略を見直すための時間を確保することが意図されています。

2026年9月2日時点で米国防総省のBlue UAS承認リスト、Blue UASフレームワーク、又はFCCの条件付承認リストに掲載されている企業については、本布告により関税の適用が180日間猶予されます。

背景

米商務省による通商拡大法232条調査では、ドローンが経済及び国家安全保障の両面においてますます不可欠な存在となっていることが確認されました。同省は、国内のドローン生産が依然として外国製のモーター、バッテリー、電子速度制御装置(ESC)、ドッキングステーションその他の重要技術に大きく依存していると判断しました。また、特定の外国製システムについては、オペレーティングシステムやソフトウェアを通じて機密性の高い情報が外国の事業体に送信されるおそれがあることなどから、サイバーセキュリティ上の懸念があることも指摘しました。

貿易相手国に対する軽減税率

本布告のもと、欧州連合、日本、大韓民国、台湾、スイス及びリヒテンシュタインを原産とするドローン及びドローン部品は関税率の上限が15%となり得る一方、英国を原産とする同製品はその上限が10%となり得ます。これらの軽減税率は、輸入者が重要部品及び技術の実質的にすべてが対象国又は米国を原産と認証する場合にのみ適用されます。

他の関税との相互関係

ドローン及びドローン部品に対する新たな通商拡大法232条関税は、2026年7月23日に発表された強制労働に関する国別の通商法301条関税に上乗せして適用されることはありません。米国通商代表部(USTR)は、「1962年通商拡大法232条に基づく関税の対象となるすべての物品及びその部品」を適用除外とする方針を明らかにしています。軽減税率(10%又は15%)の対象とならない国からのドローン及びドローン部品の輸入については、別途適用される関税、租税、手数料、賦課金その他の課徴金の対象となります。

オンショアリング促進策

本布告における特徴の一つとして、米商務省が所管する国内生産誘致(オンショアリング)インセンティブプログラムの創設が挙げられます。米商務長官は、2029年1月20日までに着工する米国内のドローン生産施設の建設、改修又は拡張プロジェクトについて、オンショアリング計画の申請を受け付け、承認を行うことができます。

申請の審査にあたり、以下の事項が考慮されるとみられます。

  • 当該企業が、承認済みのオンショアリング計画を伴う条件付承認を米国防総省又は米国土安全保障省から受けているか
  • プロジェクトのマイルストーン及びスケジュールが商業上合理的であるか
  • 年間生産能力の見込み
  • 建設開始予定時期
  • プロジェクト参加者間での関税上の便益の配分方法

承認を受けた場合、企業は当該施設の建設期間中、生産体制の整備に必要な対象製品及び製造設備を、通商拡大法232条関税を負担することなく輸入することができます。本布告は、米商務長官に対し、承認プロセスを合理化するとともに、適切な場合には、その手続をFCCの条件付承認制度と整合的なものとするよう指示しています。

対象拡大における米商務省の権限

輸入品がこの関税措置の目的を損なうおそれがある場合、又は調査で特定された国家安全保障上の懸念につながるおそれがある場合には、米商務長官はドローン部品を関税対象に追加する権限を有します。米商務省は、こうした判断を行うにあたり、国内製造業者、業界団体その他の利害関係者から情報及び提言を求めることができます。また、米商務長官は、過去の対象品目の指定を見直し、変更することもできます。

今後の見通し

本布告により、米政権は国内製造能力の強化及び重要技術サプライチェーンの保全に向け、通商拡大法232条をこれまで以上に活用する方針を示しています。主要な実施内容としては、指定国向けの軽減税率の適用対象となる製品の認証手続の策定、オンショアリング促進プログラムに関する手続の整備、及び将来的に関税対象となり得るドローン部品の選定が含まれます。

オンショアリング促進プログラムの創設は、米国内のドローン生産のあり方を形作る上で、米商務省の役割の拡大を示すものでもあります。今後は、軽減税率の認証制度やオンショアリング促進プログラムの具体的な運用内容にも注目する必要があります。