米国最高裁判所(SCOTUS)は、ドナルド・トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき関税を課したことについて、その権限を逸脱していたとの判断を示しました。 2026年2月20日、最高裁は「Trump v. V.O.S. Selections」および「Learning Resources, Inc. v. Trump」の併合事件において、政権が IEEPA の下で導入した、ほとんどの国からの輸入品に対する「相互主義的(reciprocal)」関税および「フェンタニル関税」(薬物危機対策として導入された追加関税)を無効としました。 判決は 6 対 3 で下され、下級審の判断を支持し、トランプ政権が IEEPA により認められた権限を超えていたと結論付けています。ロバーツ長官は意見書の中で、「IEEPA には関税に関する記述がなく、政府も『regulate』という語が課税権限を付与するために用いられた例を示していない。これまでいずれの大統領も IEEPA がそのような権限を付与しているとは解釈してこなかった」と述べています。
インポーター(輸入者)への影響と対応
- 還付の可能性:この決定により、1,300 億ドル超の還付が生じ得ます。
- 保護的措置の推奨:IEEPA に基づく関税を支払った輸入者は、権利保全のため、米国国際貿易裁判所(CIT)への提訴や、米国税関・国境警備局(CBP)へのプロテスト(不服申立て)を検討すべきです。
- 申立期限:19 USC 1514 に基づき、輸入者は通関が確定してから 180 日以内にプロテストを提出できます。
- 対象期間の目安:中国原産品は 2025 年 2 月以降、カナダ・メキシコは 2025 年 3 月以降、その他の国は 2025 年 4 月以降の輸入分が還付対象となり得ます。
リスクと注意点
- 還付金の帰属:原則として「Importer of Record(記録上の輸入者)」が還付を受ける権利を有します。
- 消費者訴訟のリスク:関税コストを下流の購入者に転嫁していた場合、還付金が「不当利得」であるとして消費者から訴訟を提起される可能性があります。
維持される関税と最新動向
今回無効化されたのは IEEPA に基づく関税のみであり、以下の関税は引き続き有効です。
- 通商拡大法 232 条に基づく鉄鋼・アルミニウムおよびその派生製品、半導体、自動車、木材に対する関税
- 通商法 301 条に基づく中国製品への関税
最高裁判決を受け、トランプ大統領は通商法 122 条に基づき、すべての輸入品に対して一律 10% の追加関税を課す方針を発表しました。この関税は 150 日間有効であり、その間に特定国や特定製品を対象とした 301 条調査が実施される予定です。また同日、大統領は IEEPA に基づく追加関税の徴収を速やかに停止するよう関係機関に指示する大統領令を公布しました。