概要
政府は2026年3月27日、「人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(宇宙活動法)」の改正案(以下「本改正案」)を閣議決定しました。本改正案は、従来の「衛星中心」の規制体系から、ロケットの再使用、軌道上サービス、宇宙からの帰還といった「次世代輸送サービス」を対象とする、より広範な制度への転換を図るものです。
宇宙ビジネスを展開、または参入を検討されている企業にとって、本改正案は事業リスクの低減や規制の予見可能性向上につながる可能性があります。
本改正案の主要ポイントと想定される企業への影響
打上げ許可対象の拡大(試験機・ロケット単体への対応)
現行法では、打上げ許可は「衛星の搭載」を前提としています。本改正案では、衛星を搭載しない試験機やダミーペイロードのみを搭載するロケットも許可制の対象に含めることが明記されました。
- 想定される影響: 本改正案が施行されれば、スタートアップや開発企業は、商用衛星を搭載する前の実証段階において、より早期に法的手続きを完了できるようになる可能性があります。
再使用・再突入(帰還)に関する安全基準の創設
再使用型ロケットや、宇宙空間で得た成果物・試料を地球に持ち帰るカプセル等の再突入(リエントリ)について、新たな許可制度が導入される可能性があります。
- 想定される影響: 着陸地点の要件や安全基準が明確化されることで、「リターン・トゥ・アース」型事業に関する法的リスクが整理される可能性があります。
損害賠償制度(政府補償)の拡大
第三者賠償責任保険でカバーしきれない損失を政府が補償する政府補償制度の対象範囲が拡大される可能性があります。
- 拡大範囲: 従来の衛星投入時に加え、ロケットの再使用(着陸時)および物体の再突入に伴う事故も補償対象となる可能性があります。
- 想定される影響: 巨額の賠償リスクに対する公的なバックアップが強化されることで、投資家や保険会社に対し、事業の安定性を説明しやすくなる可能性があります。
宇宙ゴミ(デブリ)対策の義務化
国際的なデブリ低減ガイドラインに沿い、運用終了後の衛星の適切な処分や、デブリ発生を抑制する構造設計の確認に関する要件が強化される可能性があります。
- 想定される影響: 衛星製造・運用事業者にとって、初期設計段階からのコンプライアンス対応が必須となる可能性があります。
今後のスケジュールと対応の方向性
- 本改正案は今国会で成立する可能性があり、成立した場合、一定の猶予期間を経て、2026年後半〜2027年頃に施行される見込みです。
- 宇宙輸送サービス、軌道上サービス、宇宙素材の回収ビジネス等を計画されている企業は、再突入許可や政府補償制度の要件に自社の事業計画が適合するかについて、早期のリーガルレビューを行うことが望ましいと考えられます。
参照資料
本改正案の詳細については、以下の内閣府公表資料をご参照ください。